2012-05

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「とてつもない日本」(

とてつもない日本 とてつもない日本
麻生 太郎 (2007/06/06)
新潮社

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 3分の1くらいまで読んだところで、「安倍首相退陣」のニュースが飛び込んできた。著者の麻生太郎氏は、もともと「次期総理」の筆頭に名前を挙げられていたが、本人もこれほど早く総裁選を迎えるとは思っていなかっただろう。

 本書は4月に発行されたばかり。首相に就任すれば結果的に、安倍首相の著書「美しい国へ」と同じように、首相就任時にタイミング良く国民へ向けて政治家としての基本姿勢を伝える本となる。これからますます、書店に平積みされて大いに売れることだろう。

 とにかく、「前向き」だ。少子高齢化・人口減少を必ずしも否定的にとらえない発想や、靖国神社を国が管理する施設に衣替えすべきという考えは、新聞やテレビでもたびたび紹介されているが、それよりも特に強調されているのは、第三次小泉内閣、安倍内閣の外務大臣としての経験から、日本が諸外国からいかに高く評価されているかということ。とにかく日本の現状のプラス面を具体例を挙げて書き並べる。

 冒頭の「はじめに」に書かれているエピソード。2005年に外務大臣としてインドへ赴いた時、日本のODAを使って建設された地下鉄を視察した。駅には日本とインドの大きな国旗。「建設費の70パーセントは日本」という表示。地下鉄総裁からは、「資金援助や技術援助だけでなく、集合時間や納期をきっちり守る労働の美徳を教えられた」と大変な感謝を示されたという。

 別の章では次のような調査結果を記している。昨年、英国のBBCと米メリーランド大が共同で、世界33か国の4万人にアンケート調査を行った。「今、世界に最も良い影響を与えている国は?」という問いに対し、「日本」と答えた人が最も多かったそうだ。また、フランスのジダン、イタリアのトッティら著名なサッカー選手が、サッカーを始めたきっかけとして「キャプテン翼」を挙げていることなど、自称「オタク」らしく、漫画やアニメなど日本のサブカルチャーが世界でいかに愛されているかも紹介している。

 景気は回復しつつあるとはいえ、少子高齢化だ、格差社会だとまだまだ暗い話題が多い現代ニッポン。歴史問題に象徴されるように、もともと「自信なさげ」「自虐的」な日本人にとって、「もっと自信を持て」的なリーダーシップは人気がとれそうだ。

 それに、安倍首相と同じような「お坊ちゃん」とはいえ、筑豊の川筋育ちの麻生さんの方が、まだたくましくも思える。テレビではよく、「生まれはいいが、育ちは悪い」なんて言ってた。政治家としての基本的な思想には共感を覚えるし、もし首相になったら、どれだけやれるか楽しみだ。

 ところで、福岡に住んでいると、麻生グループの存在感を感じることは多い。昔、筑豊の花火大会を見に行った時、麻生グループの巨大な広告花火が登場してびっくりした。先日、仕事で訪れた九州情報大学という太宰府天満宮の近くの聞き慣れない大学も、麻生グループの学園が経営する学校の一つだった。 

 「とてつもない麻生グループ」と言ったらちょっと言い過ぎだが、やっぱり御曹司だなーと思うのです。
 
(2007年9月13日、読了)

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

「日本的霊性」(岩波書店/鈴木 大拙)

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鈴木 大拙 (1972/01)
岩波書店

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 「霊性」。鈴木大拙の造語ではないものの、聞き慣れない言葉で、正確に定義づけるのも難しそうですが、著者自身が緒言の中で書いているように、おおむね「宗教意識」といった意味と理解してよさそうです。仏教哲学、とりわけ禅についての研究で知られる著者が本書で論じているのは、日本人の霊性が歴史的にいかにして発展してきたのかということ。

 つまり、大雑把に言えば、「日本人独自の宗教意識は、古代にはまだおぼろげな形でしかなく、鎌倉仏教によってそれが自覚させられた」という考えです。神道は日本古来のものですが、日本的霊性の自覚には不十分なものでしかなく、インドから中国を経て取り入れた仏教こそが、日本人の宗教意識を目覚めさせた。とりわけその中で重要な働きをしたのが、浄土宗系の宗派だ−−ということのようです。

 奈良仏教は「教学」に拘泥して知性に偏りすぎ、万葉集は情に偏っていました。まだ「霊性」の自覚に至らない、初期段階です。こうした日本人の感性の両翼が、仏教という形を借りて発展し、鎌倉時代に頂点に達したのだということを、著者は論じているわけです。そういった意味で、日本仏教は決して「外来宗教」ではないといえるでしょう。そもそも、仏教そのものが非常に懐の深いもので、民族によって多様な形に発展していっているようですが。

 専門的な難しいことは分からないですけど、日本仏教は大きく浄土宗系、禅宗系、日蓮宗系、密教系(真言宗系)に大別されると思います。その中で、特に日本思想史上で大きな意味を持つ浄土教と禅が、「他力」「自力」という一見、正反対の思想であるにもかかわらず、つきつめれば共通した境地に至るという考えを、素人向けの仏教の本を読んでいても、しばしば目にします。(柳宗悦「南無阿弥陀仏」もそうだったかな?)詳しいことは知りませんが、こうした考えを理論的にキチンと説明したのも、鈴木大拙の功績なのかな、と思います。

 やや難解な部分もありますが、全体としては非常に面白い本でした。特に印象に残ったのは、大地に根ざした宗教でなければ、人間の霊性の自覚にはつながらない、という趣旨のことを繰り返し、しつこいほど主張していること。学者僧侶による奈良仏教ではなく、宮廷人の平安仏教でもなく、民衆のための仏教となった鎌倉仏教が日本仏教として定着して今に至るのは、やはり法然や親鸞らが大地に根ざした生き方で思想を発展させていったからなのでしょう。

 余談ですが、弁護士の大平光代さんが通信講座を利用して浄土真宗の僧侶を目指していると新聞で読みました。俳優の保坂尚輝さんも出家しましたね(新宗教っぽい宗派みたいですが)。統一教会やオウムの影響で、宗教自体が白眼視されるような時期もありましたが、だいぶ変わってきたようです。世知辛く、しかも物騒なこの時代、宗教に、人の生き方の手助けとなる力を取り戻すことを期待したいです。

(2007年8月27日読了)

テーマ:読了本 - ジャンル:本・雑誌

「プロ野球 誤審の真相―球界をダメにするおかしな構造」(草思社/工藤 健策)

プロ野球 誤審の真相―球界をダメにするおかしな構造 プロ野球 誤審の真相―球界をダメにするおかしな構造
工藤 健策 (2006/10/26)
草思社

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2007年1月3日読了。

さまざまな具体的ケースを数多く例示して、審判の判定や監督の抗議を巡る諸問題を分かりやすく説明している。

しかし、最も面白かったのは、最後の方で、解説者や監督がいかにルールを知らないかを、具体例や実名を挙げて紹介した部分。

ただ、具体例が詳細な割には、主張は大雑把な気がする。

「法華経を生きる」(幻冬舎/石原 慎太郎)

法華経を生きる (幻冬舎文庫) 法華経を生きる (幻冬舎文庫)
石原 慎太郎 (2000/08)
幻冬舎

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 2007年1月6日読了。

 石原慎太郎が熱心な仏教徒であるとは知らなかった。「信仰は、組織化された宗教になったとたん、本質的には堕落する」として、自らは在家仏教に徹しているのだそうだ。

 この本は、法華経の解説書というよりは、法華経を一部引用しながら、著者の仏教観、哲学を記した本だ。自らと仏教とのかかわりを紹介しながら、半生を振り返った自伝的な本でもある。解説を瀬戸内寂聴さんが書いている。

 石原慎太郎に興味がある人や、法華経や仏教哲学に興味のある人にはお勧め。

「梅原猛、日本仏教をゆく」(朝日新聞社/梅原猛)

梅原猛、日本仏教をゆく 梅原猛、日本仏教をゆく
梅原 猛 (2004/07/16)
朝日新聞社

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 2007年1月14日読了。

 日本の歴史上の42人の仏教者の生涯や思想を紹介しながら、著者の仏教思想も垣間見ることができる一冊。

 字が大きく、文章は分かりやすく、注釈も多くて理解しやすい。「人物からひもとく日本仏教入門」という感じですね。

 しかし、わずか300ページで42人分をまとめてあるので、人物一人ひとりについての記述は、ほんのわずかずつ。ハードカバーで1400円という価格から考えると物足りないが、もともとそういう趣旨の本なのだから、仕方ないか。

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