2012-05

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「金印偽造事件—「漢委奴國王」のまぼろし」(幻冬舎/三浦 佑之)

金印偽造事件?「漢委奴國王」のまぼろし 金印偽造事件?「漢委奴國王」のまぼろし
三浦 佑之 (2006/11)
幻冬舎

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 18世紀に志賀島の農民が発見し、国宝として福岡市博物館に所蔵されている「漢委奴國王」の金印は、発見直後に鑑定書を書いた儒学者の亀井南冥によって偽造されたニセモノである――。これが著者の主張だ。


 この金印については、1世紀に後漢の光武帝が倭国の王に贈った「ホンモノ」ということで、学会の意見は一致している。一般人としては、専門家たちが「ホンモノだ」と言っているのだから、とりあえず信じるしかない。


 ただ、過去にも一部で偽造説が主張されたことがあったらしいし、新たな発見や研究・調査結果によって、歴史の教科書が書き換えられることは、時々あること。だから、この本にも、それなりの説得力のある論証を期待したのだが――。期待外れだった。


 発見の経緯を福岡藩主に提出した口上書や、亀井南冥が書いた鑑定書などの「不自然さ」を指摘し、藩主や鑑定人ら、この問題にかかわった人たちの人間関係、当時の状況などをもとに「論証」を進めているのだが……推論の上に推論を重ね、憶測の上に憶測を重ねるという論法のオンパレード。この著者、考古学や歴史の専門家ではないとはいえ、それでも古代文学を専攻しているれっきとした千葉大学教授なのだが…。


 大胆な主張を次々と展開した後、最後の方になって、「振り返ってみて思うのだが、金印が偽造されたものであるということを証明するのは、なかなか困難なことである。わたしの文章が稚拙で、論理的な文体をもっていないということにも原因はあろうが、いくら言葉だけを費やしてみても、金印の偽造は明らかにできない」(第8章)、「贋作だと大ぼらを吹きながらキーボードを打っているのに、小心者のわたしは、お詫びのことばを考えていたりする」(あとがき)などと、急に弱気になってくるのには、かなり笑えた。


 素人の私でも突っ込みどころ満載の論理だったが、なかでも最も単純な疑問が一つ。著者は、亀井南冥が「発見者の農民・甚兵衛」という架空の存在をでっち上げたとしているが、現場は江戸時代の小さな志賀島である。架空の人物をでっち上げても、村人たちから「うちの村に、そんな男はいないぞー」という声が上がるはずだと思うのだが…。


 ただ、この本を読んで金印発見の背景事情を知ることはできたし、読み物としては、まあまあ面白かったと言えるかも。

(2007年5月7日読了)

テーマ:読了本 - ジャンル:本・雑誌

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金印偽造事件:「漢委奴國王」のまぼろし/三浦佑之

 図書内容について、まず図書自身に語らせる。カバーの裏に次のような惹句があった。 帯情報 「一七八四年、志賀島(現在、福岡県)の農民・甚兵衛(じんべえ)が田んぼの脇の水路から発見したとされ、日本史の教科書にも掲載されているあまりに有名な「金印」。これは、建武

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